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第70回 カタカナ語とサッカー(2)

コラム

結構奥が深いパスがある
~ダイレクト、コレクト、イレクト~

 パスの中でも、ダイレクトパスは最も多用されているものですね。このダイレクト(direct)は「直接の」の意味で日常的によく用いられている言葉で、これ自体は説明の要もありませんが、動詞となると「命令する・指示する」の意となります。これは、「真っすぐな」の意の語源であるrectに、「別々に」の意のdiが付いたもので、「別々に真っすぐにする、別々に正しくする」から「指示する、命令する」となるのです。ディレクター(director・監督、取締役、テレビなどのディレクター)などは日常的にも耳にする言葉ですね。さらに、ディレクション(direction)となれば「方向、指示、監督」です。
 さらに、「全く」の意のcorが付くと、correct(正しい、訂正する)となり、er (上に、の意)が付くと、erect (直立させる・建設する)となります。歴史に登場するホモエレクトス(直立原人)を知っていれば、エレクトの感じがよく掴めるところです。どうです。なかなか奥が深いでしよう。ついでに、ダイレクトの変化形であるディレクション(direction・方向)を付けておきましよう。
 次は、陸上競技のクロスカントリーでもお馴染みのクロス(cross)パスです。意味は「交差させる・横切る、十字形、十字架」ですが、「横切る」の意のcruを語源とする言葉で、クルーセード(crusade)となれば「十字軍」、クルーズ(cruse)となれば「巡行する」となります。クルーザーは大方がお馴染みと思いますが、音楽ファンなら往年のロックグループ、フォーククルセダーズをご案内の向きもあるでしよう。「十字軍戦士、聖戦」ですからすごい名前ですね。クルーシャル(crucial)となれば「苦難の、重大の」となります。とにかく、十字架にかかわるような事柄は由々しきものなのでしよう。

●今回の重要単語(まとめ)
・direct(ダイレクト)・・直接の、指示する・命令する
・director(ディレクター)・・監督、取締役、テレビなどのディレクター
・direction(ディレクション)・・方向、指示・監督
・correct(コレクト)・・正しい、訂正する
・erect(エレクト)・・直立させる・建設する
・cross(クロス)・・交差させる・横切る、十字形、十字架
・crusade(クルーセード)・・十字軍
・cruse(クルーズ)・・巡行する
・crucial(クルーシャル)・・苦難の、重大な