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第57回 カタカナ語とスポーツ(21)

コラム

意味不明なスポーツ用語(2)
~バレー、グランドスラム、ボギー~

前回に引き続き意味不明な言葉です。まずテニスから行きましよう。
サービス(テニス)
言うまでもなく、サービス(サーブ)はテニスにおける最大の武器です。「奉仕、役立つ」の意のサービスとは結び付きません。前にも若干ふれましたが、昔、貴婦人たちが宮廷の中庭であるコートでテニスをする場合、はじめにコートの外にいる召使などにボールをポンと投げ入れてもらったことによるものでしよう。ついでに言えば、テニスのカウントも分かりにくいですね。これはクオター制の名残によるものです。当初、フィフティー、サーティー、フォーティファイブだったものが、最後のフォーティファイブがフォーティと略されてコールされているのです。これとは対照的に、テニスのフォールト(fault・失敗)、ポーチ(poach・侵入する)などは実によく分かりますね。
バレーボール(volley ball)
バレーは「一斉射撃」です。どうもピンときませんね。実は、このゲームができたときは、参加者が二組に分かれ、チームがお互いに回数に制限なくポンポンと相互に打ち合い、ボールを地面に落とした方が負けというルールであったことによるものです。発音がチョッと違いますが、テニスのボレーも同じです。
グランドスラム(grand slum)
グランドスラムは野球やゴルフで使われる言葉で、グランド(grand)は「壮大な」スラムは「ピシャリと打つ」です。野球では「満塁本塁打」、テニスでは全英、全米、全仏、全豪のオープンが対象となります。また、ゴルフでは全英、全米のオープン及びプロ選手権に加えてマスターズ選手権が対象です。本来は、トランプのブリッジの グランド・スラム(13組全部を取ると宣言して勝つこと)に由来するもので、まあ、「快挙、大当たり」といった感じでしよう。
以下は余談ですが、ゴルフの聖人と言われるボビー・ジョーンズが、年に全米オープン、全英オープン、全米アマをすべて制覇した時、この言葉が使われたのです。全米プロがないのはジョーンズか終生アマ(弁護士)だったことによります。彼は同年に競技から引退し、今日ではグランドスラムの試合に数えられるマスターズ選手権を開催したのです。なお、このマスターは酒場の主人でなく、「名人」です。
ボギー(boggy)
ボギーはゴルフの打数を表す言葉で、パー(基準・標準)より一つ多いストロークです。架空の存在であるボギー大佐、人さらいとされるボギーマンに由来するなど諸説がありますが、よく分かりません。ちなみに、パーより一打少ないのはバーディ(birde・小鳥ちゃん)、二打少ないのはイーグル(eagle・鷲)、三打少ないのはアルバトロス(albatros・アホウドリ)で、その上は「コンコルド(condor、巨大な猛禽)」となっています。歴史的には四回達成されたとなっていますが、今日ではありえない話ですね。
ダンクシュート(dunk shoot)
バスケットボールで、高く跳んでゴールの真上からボールを叩き込むようにシュートすることですが、和製英語で、米国ではダンクショットだそうです。ダンク(dunk)は「パンをミルクなどに浸す」の意味で、よくは分かりませんが、「軽くやってしまう、朝飯前」といった感じのようです。

●今回の重要単語(まとめ) 
👉 ・volley (ヴァリ )・・・・一斉射撃・連発
  ・grand (グラァンド)・・壮大な、威厳のある
  ・slam (スラァム)・・・バタンという音、バタンと閉める