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第67回 カタカナ語と野球(10)

コラム

~バントにまつわる英語~
~ドラッグ、サクリファイス、バスター~

 野球の大きな魅力は、ホームランをはじめとするバッティングにありますが、打球に関する英単語としては、ヒット(hit―命中打撃、当たる)、ホームラン(home run・本塁打)などではどうにもやり様もありません。やや、英単語のにおいがするのは、ドラックバントぐらいでしょうか、ドラッグ(drag)の意味は「引く、引きずる」で、かなり重要な単語です。前にもやったと思いますが、ドロー(draw・引く、引き分ける)、ドローイング(drawing・絵画)、ドラフト(draft・選別、換気口)などに繋がっています。「引く」感じがよく分かりますね。バントの場合、バットを「引く」のでしよう。ちなみに、ドロワー(drawer)となれば「引き出し」ですが、今や死語ともなりつつあるズロースがこの訛りであることをウンチクとしてご紹介して置きましよう。やっぱり引っ張るものなのです。

 この他バントにはサアクリファイス・バント、バスターなどもありますが、それぞれ意味は「犠牲」、「いやな奴、偽者(俗語)」です。サクリファイスの語源であるsacriは「聖なる」の意で、セイクリッド(sacred)は「神聖な」で、サクラメント(sacrament)となれば「聖餐」です。米国カルフォルニア州の有力都市、サクラメントの由来はここにあると推測されるところです。これも同様なウンチクですが、一見して和製英語の様に感じられるゴロはグラウンダー(grander)のなまりです。グラウンドを知らない人はいないでしよう。

{さらに、おまけとして、やや意味不明のグランドスラム(満塁本塁打)を付けておきましよう。グランド(grand)が「偉大な」であることは明白ですが、スラム(slam)は「パタン・ぴしゃりという音」です。ウンチクを重ねれば、これは元来、コントラクトトランプから来たもので、最初に13組全部を取ると宣言して達成した場合、グランドスラムとなるのです。現在では、ゴルフやテニスでよく用いられていますね。おまけに、ゴルフの球聖と言われるボビー・ジョーンズが一年間でグランドスラムを達成したことはよく知られています。}

今回の重要単語(まとめ)

 drag(ドラッグ)・・引く、引きずる
 draw (ドロー)・・引く、引き分ける
 drawing(ドローイング)・・絵画
 draft(ドラフト)・・選別、換気口
 sacrifice(サクリファイス)・・犠牲
 sacred(セイクリッド)・・神聖な
 sacrament(サクラメント)・・聖餐
 bastard(バスター)・・いやな奴、偽者(俗語)